日本茜染色の不思議3

我が工房では、

日本茜を見つけて、栽培に試行錯誤した約5年後、栽培地を拡げ(リンゴ箱60箱)やっとの思いで、乾燥赤根が約2kg採れた。あれだけの思いをしてこれだけぇ?って思いながら、乾燥赤根を100gづつに小割りすれば、これで20回は染色できる。との考えで、日本茜の染色をスタートさせた。

 

今から思うと、植物染色の刊行本等を参考にしたことで、非常に勿体ないこともした。又、日本茜の不思議の経験もした。

植物染色でよく言われる『植物だから染め色が変わる』なんてことに納得できず、どうしたらこんな色に染まるのか原因系の分析に走る日々も続いた。

結果として、世間一般的な植物染色技法とは一線を画した独自の染色技法を見つけ出す事ができたように思う。

 

世間一般的には植物染色の被染物は、木綿を主にする藍染は除いて、絹や毛、所謂タンパク繊維を中心に組み立てられている。

我が工房に於いては、日本茜染色の被染物の軸を、大阪泉州の地域柄の拘りを持って「木綿」としたことによって、素材に見合った独自の染色条件を編み出すことになった。呉汁等のタンパク質を付与する前処理をしなくても、それなりに染める事が可能となったり、又その副産的な効果として、橙にも赤にも黄にも染めることが出来るようになり、今も染め色の範囲が広がっている。

 

3年前より茜の栽培地を拡大し、今年より最小限と言えども、その赤根をふんだんに使って、7月より毎月日本茜の染色講習会を開催し、遠方からの参加の皆さんにも、日本茜の染色の魅力をお伝えする事もでき出した。

併せて、乾燥赤根を500g単位で煮出し、製品創出に向けた糸、布等を精力的に染め出しも行っている。

今年中には茜色の製品販売も実現の予定だ。

 

乾燥赤根の重量は、生に比べ水分が殆どなので、1/81/10に減ってしまう。(あれっ、これだけ?)

日本茜はインドや西洋に比べ根が細い分嵩張ってしまう。

このバケツ山盛りで500gなんよネ。

これを、砂やゴミを洗い流してから40Lの寸胴鍋で煮出していく。

1時間して第1液を取る。その後、水を入れ替え、2液、3液と染液取りが続く。場合によっては7回迄も。

 

汗水垂らして3年も育てて採取した赤根は、愛おしいし、貴重だし、最後の最後まで、色素を使い切りたい❣との想いに駆られる。

 

この想いが、赤だけでなく黄も紫も染め出せる原動力になっているのは確かだ😀